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初めての海外出張

 プラスチックのリサイクル原料を扱う会社に勤め、私は仕事を覚えようと一生懸命努力しました。そして仕事が身についていくうちに、私はこの仕事をずっと続けようと思うようになりました。

 今から40年程前、当時M化成の常務をしていた頃、台湾出身のT貿易M社長と取引を始めました。仕事の話が終わった雑談の中で「カバン持ちでもよいので海外出張に同行したい。」 と話したところ、快諾を得ました。というのも、当時T貿易は東京の商社から購入したプラスチック原料が香港でクレームとなっていたため、プラスチック原料にあまり詳しくないM社長にとっても私の同行は歓迎すべきものだったのです。そして私はM社長と香港に行くことになりました。

 

紙袋 クレーム内容は、LDPEのオフグレード品を出荷したが、フィルム用と成形用が混在していて区別が出来ないというものでした。私は、自らの経験から次のようにアドバイスしました。 「フィルム用は、袋の封を開け、上から手を差し込むとズボッと簡単に入る。これはフィルム用にはスリップ剤が添加されていることが多いため。一方成型用は同様に手を突っ込んでもギシギシして手が通りにくい。」

 私の説明を聞いたM社長は、顧客を前に1,000袋ほどの袋を開け、腕まくりで手を入れ中国語で、「フイルム用」「成型用」と選別していきました。相手にどうやって区別するかを教えず、自分で選別するというのが面白いところです。先方はマジシャンみたいだと驚いた様子でした。

 帰国する際、どうせ香港まで来たのだからと台湾へ渡りました。幼少時の記憶をたよりに訪ね、幼稚園や小学校の同級生5名と再会し、あの乳母とも約束通り会うことが出来ました。同級生達とは今でも交流が続いています。

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