思い起こすと、社会に出て、仕事を始め、すでに50年になります。年月の経つのは早いもので、会社勤めから独立、開業して30年になります。随分苦労もしましたが、良いこともたくさんありました。何より多くの人との素晴らしい出会いがあったからこそ、ここまで頑張ってこられたのだと思います。

　私は１９３６年４月に当時日本領であった台湾で生まれました。両親とも日本人で、父親は外務省に勤務していました。太平洋戦争敗戦により引き揚げ、日本に帰国しました。

帰国する時、基隆（キールン）港へ見送りに来て泣き叫ぶ乳母に、リバテイ（引揚げ船）の甲板から「必ず戻って来るよ！」と叫びました。このことが私を後に貿易へと駆り立てたのだと思います。 外国（特に台湾）には夢を持っていたといえるでしょう。